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特別養護老人ホーム(特養)とは?
~入居条件や費用をわかりやすく解説

特別養護老人ホーム(特養)とは?

特別養護老人ホームは、介護を必要とする方に介護サービスと生活の場を提供する施設で「特養」の呼称でも知られています。法的には介護施設と定義されており、民間運営の有料老人ホームなどに比べて低料金な点が魅力となりますが、入居いただく為の条件があります。
このコラムでは気になる費用や入居条件をはじめとする基礎知識をわかりやすくお届けします。

特養の費用

特養は介護保険が適用される公的な施設のため、自己負担額が比較的安い老人ホームとなっています。
民間運営の有料老人ホームのような入居一時金はありません。
月額利用料も要介護度と収入によって決定されるなど、所得の低い方が利用しやすいように配慮されています。

入居費用0円
月額利用料6万~14万円
※下記月額利用料の目安表を参照ください

月額利用料の目安表

要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
利用者
負担段階
第一段階60,328円62,778円65,403円67,888円70,303円
第二段階63,028円65,478円68,103円70,588円73,003円
第三段階
85,528円87,978円90,603円93,088円95,503円
第三段階
106,828円109,278円111,903円114,388円116,803円
第四段階131,308円133,758円136,383円138,868円141,283円

※1割負担の場合。
※2024年9月1日時点の希望の郷大治の概算月額料金となります。
※医療・薬剤費、理美容、嗜好品費等の日常生活費が発生する場合別途ご請求となります。
※①介護度②利用者負担段階③負担割合によって幅があります。個別に詳しい料金のご説明希望の場合はお問い合わせください。

月額利用料の目安表

施設サービス費介護サービスを受けるための費用です。
介護サービス加算制度、職員の体制、施設で対応するサービス等に応じて上記施設サービス費に加算されるサービス費用です。
居住費「家賃」に相当する費用です。ベッドはあらかじめ備品として用意しております。
食費1日3食とおやつにかかる費用です。

施設サービス費について

施設サービス費は介護を受けるための費用です。介護度などによって異なり、介護度が高くなるほど、高額に設定されています。

施設の介護サービスの内訳は主に下記表の通りです

種類内容
食事管理栄養士が作成する献立表により、栄養並びにご利用者の身体状況に配慮したバラエティに富んだ食事を、生活習慣を尊重した適切な時間に提供し、必要な時間を確保致します。ご利用者の意思を尊重しつつ、できるだけ離床して共同生活室で摂るよう支援致します。
【食事時間の目安】
朝食7:15 昼食12:00 おやつ15:00夕食 18:00
排泄排せつの自立を促し、入居者の身体能力を最大限活用した援助を行います。尿意や便意がない場合は、排尿間隔を把握してトイレに誘導。自力で移動できる方は、できる限りトイレで排せつするように促し、寝たきりの場合はベッド上で排せつ介助を受けます。
入浴・清拭ご利用者の意向に応じ最低週2回実施。体調不良等で入浴ができないときは清拭をして、身体の清潔を保ちます。寝たきりの方でも機械浴槽などを使用して入浴することが可能です。
整容個人としての尊厳に配慮し、適切な整容が行われるよう援助をします。シーツ交換は週1回、寝具の消毒は月1回実施します。
機能訓練機能訓練指導員により、ご利用者の心身等の状況に応じて、日常生活を送るに必要な機能の回復又はその減退を防止する為の訓練を実施します。レクリエーションや行事もリハビリの一環として提供されます。
レクリエーション施設での生活を実りあるものとするために、リハビリに繋がるレクリエーションを行います。お祭りやクリスマスなどの年中行事や誕生会、お花見・紅葉狩りといった外出イベントなど、多種多様なプログラムが企画されます。
健康管理嘱託医師により、週1回往診日を設けて健康管理に努めます。緊急時必要な場合には、主治医あるいは協力医療機関等に責任をもって引き継ぎます。各職種が連携して感染症や食中毒の予防にも努めています。
相談及び援助ご利用者及びその家族からいかなる相談についても誠意をもって応じ、可能な限り必要な援助を行うよう努めます。

介護サービス加算について

制度、職員の体制、施設で対応するサービス等に応じて加算されるサービス費用です。必要に応じて下記の加算が生じる場合があります。

種類内容単位数
初期加算入居日から30日以内の期間について算定となります。30日を超える病院等への入院後に当施設に戻られた場合も算定となります。30単位/日
口腔衛生管理加算歯科衛生士が入居者様に対し口腔ケアを月2回以上行い、当該入居者様に係る口腔ケアについて、介護職員に対し具体的な技術的助言及び指導を行います。110単位/月
看護体制加算常勤の看護師を1名以上配置しています4単位/日
処遇改善加算介護業務に従事する職員の賃金改善や職場環境整備のために必要な金額を国から事業所へ支給する制度。
※合計単位数に厚生労働省が定める所定の割合を乗じた単位数の加算となります。
サービス提供体制
強化加算
介護及び看護職員の総数のうち75%以上が常勤職員の場合に算定となります。6単位/日
生産性向上推進体制加算介護ロボットやICTのテクノロジーを活用し入居者様の安全、介護サービスの質の向上に取り組みます。100単位/月
特別通院送迎加算透析を要する入居者様の送迎を1月に12回以上行った場合に算定となります。594単位/月
退所時情報提供加算医療機関等へ退所した際、生活支援上の留意点等の情報提供を行います。250単位/回
退所時栄養情報
連携加算
医療機関等へ退所した際、栄養管理に関する情報連携を切れ目なく行います。70単位/回
認知症チームケア推進加算認知症介護に係る専門的な研修の修了者を1名以上配置し、認知症の行動・心理症状の予防等のための認知症ケアについてカンファレンスの開催、計画の作成、定期的な評価、ケアの振り返りや計画の見直しを行います。150単位/月

居住費について

いわゆる「家賃」に相当する費用です。有料老人ホームにおいてはベッドをご家族が要しなくてはならないケースがありますが、特養はあらかじめ備品として用意されているのが特徴です。

食費について

食費は1日3食分が含まれているため、「外出及び外泊によって昼食のみ停止した」などの場合でも1日分とみなしご請求申し上げます。
ただし、外泊や入院などにより、数日施設に戻らない場合は食事を止めることができ、欠食分は請求されません。

日常生活費について

医療費、薬剤費、理美容、入場料などが発生するレクリエーション費、嗜好品などは自己負担になります。
ただし、クリーニングを必要としない私物の洗濯や、おむつ代(尿取りパッドなども含む)は施設の負担となります。

特養の入居条件について

受け入れ基準の原則について

・65歳以上の要介護3~5の方
・40歳以上65歳未満で特定疾患のある方

要介護1・2の方の特例入居について

以下の場合は要介護1~2でも、特例により入居対象となる場合があります。

I. 認知症であることにより、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、在宅生活が困難である。
II. 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られ、在宅生活が困難である。
III. 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により、家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が十分に認められないことにより、在宅生活が困難な状態である。
IV. 上記3要件に準ずる状態が複合的に生じている等、総合的に勘案して在宅生活が困難であり、他の 介護サービスの利用が困難であること。

入居にあたり気を付けるべきポイント

入居できるのは原則的に要介護3以上の方

特例で要介護1~2でも入居できるケースがありますが、入居条件は厳しく定められています。要件を満たしていても、ご利用者本人やご家族から当法人の職員や施設内の他ご入居者への迷惑行為等が施設での対応範囲を超えている場合等、受け入れ困難と判断させていただく場合があります。

医療体制についてご認識いただくべきこと

特別養護老人ホームは介護を必要とする方に介護サービスと生活の場を提供する施設であり、医療機関ではありません。
入居中の医療は施設配置医師と日中(8:30~17:30)常駐する看護師にて可能な範囲で対応し、医療機関への入院加療が必要な場合は協力医療機関と連携しながら対応いたします。また、介護スタッフが下記を行う場合があります。

① 皮膚への軟膏塗布 
② 湿布貼布 
③ 点眼薬の点眼 
④ 一包化された内服薬の内服介助 
⑤ 座薬の挿入 
⑥ 吸入点鼻薬の噴霧の介助
⑦ 喀痰吸引・経管栄養(特定の研修を受けた介護職員のみ)

特養のメリット

利用料金が安い

特別養護老人ホームは公的な介護施設なので、民間施設と比較して低価格なのが特徴です。また、入居一時金はなく、所得に応じた費用の減免制度もあります。

24時間介護が受けられる

介護スタッフが24時間常駐おり、必要に応じて介護サービスが受けられます。プロのスタッフが常に近くにいる環境は、ご家族にとっても大きな安心材料でしょう。

原則終身にわたって入居できる

長期入居が前提であり、原則として終身にわたり介護を受けることができます。本人やご家族にとって大きな負担になる転居のリスクを最大限減らすことが可能です。

公的な事業運営による安全・安心をお届け

ご利用者本人やご家族が安心して生活するために、法令により介護に携わるスタッフの人員配置、施設設備に厳格な基準が設けられています。また、特養を運営することができるのは地方自治体や社会福祉法人に限定されており、補助金や税制面でも優遇されるため、民間企業より安定した経営基盤のもと施設運営が行われています。

記事の作成日:2024年10月25日