ユニット型個室とは?~従来型との違いやユニットケアの特長を解説
目次
ユニット型(ユニット型特別養護老人ホーム)とは、介護が必要な高齢者向けの施設で、少人数のユニット(グループ)に分けてケアを行う形態の特別養護老人ホームです。このコラムではユニット型特養と従来型特養との違いや、ユニットケアの特長を解説しています。
従来型との違いは全室個室であること
従来の大部屋型(多床室)と違い、ユニット型は各ユニットが個室やリビングなどを備えた小さな共同生活空間になっており、少人数で生活を共にします。
1.居住環境
従来型特養 | ユニット型特養 |
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大部屋が基本で、1部屋に4人程度が生活する多床室が一般的です。入居者間のプライバシーは限られており、リビングなどの共用スペースも多くはありません。 | 少人数(希望の郷の場合は最大10人)で1ユニットを形成し、全室個室となります。ユニット内にはリビング・ダイニングなどが備えられ、家庭的で落ち着いた環境が整っています。 |
2.プライバシーの確保
従来型特養 | ユニット型特養 |
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大部屋に複数の入居者様が生活しているため、プライバシーの確保が難しく、日常生活の場面が他の入居者様に見られやすくなります。 | 各入居者様が個室で生活するため、プライバシーが守られやすく、家族や友人との面会もゆったりと個室で行うことができます。 |
3.生活の自由度
従来型特養 | ユニット型特養 |
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大人数が同時にケアを受けるため、決まったスケジュールでの生活になりやすく、自由度は限られています。 | ユニットごとに自由な生活リズムを作りやすく、起床や食事などが個々の希望に合わせやすいです。施設内でも「自分の家にいるような感覚」を大切にできるよう配慮されています。 |
4.ケアの提供方法
従来型特養 | ユニット型特養 |
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入居者様が多く一斉にケアが提供されることが多いため、個別のニーズへの対応は難しい場合があります。スタッフは大部屋の複数人を一度に見る形になるため、個別ケアは制限されがちです。 | ユニットごとにケアスタッフが配置され、入居者様ごとの生活リズムや個別のニーズに合わせた「ユニットケア」が行われます。スタッフと入居者様の距離が近く、個別ケアが提供されやすい環境です。 |
5.認知症ケアのしやすさ
従来型特養 | ユニット型特養 |
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多床室では他の入居者様の影響を受けやすく、認知症の方が不安や混乱を感じることもあります。また、職員が多数の入居者様を見る必要があるため、個別対応が難しい場合もあります。 | 少人数での生活や、個別対応のケアが認知症の方に適しており、入居者様の不安や混乱を軽減しやすい環境が整っています。認知症の症状に配慮したアプローチがしやすく、なじみのあるスタッフがいることで安心感も得やすくなっています。 |
ユニット型特養の人員配置基準
ユニット型特養の場合、従来型の特養の人員配置に加えて、以下の基準が設けられているため、より手厚い介護サービスをうけることができます。
昼間1は1ユニットごとに常時1人以上の介護職員または看護職員を配置
夜間2は2ユニットごとに1人以上の介護職員または看護職員を配置
ユニットごとに常勤のユニットリーダーを配置
入居者様が活動的になる
多床室から個室に建て替えられた施設について、建て替え前後の状況を比較したところ、個室・ユニット化が入居者様に及ぼす影響について、以下のような発表がなされています。
6人部屋の特別養護老人ホームにおいて入所者がとる行動を調査したところ、日中の70%から90%以上、同室者に対し背を向けた姿勢を取っていることが分かった。多床室の入所者は互いに交流するどころか、むしろ関わりを避けて生活していることが明らかになった。
個室化された後は、日常生活動作能力(ADL)の高低にかかわらず、入所者が自分の家具、日常生活用品、小物を個室に持ち込み、絵や写真を飾るなどして個人的領域が形成される現象がみられた。また、ベッド上の滞在率が減少する一方、リビングの滞在率が増加し、個室化は居室への閉じこもりを惹き起こすのではなく、むしろリビングに出て他人との交流を促し、食事量が増加する効果があることが分かった。
介護スタッフについては、居室や廊下の滞在時間が減少し、リビングにおける滞在時間が増加した。それと共に、身体介助中心のケアから、余暇を過ごしたり交流を図ったりといったケアへと、質的な変化が見られた。
特別養護老人ホームのユニット型への建て替えによる入居者様の生活上の変化
従来型 ユニット型 ベッド上の滞在率 67.7% 40.2% リビングの滞在率 16.7% 42.8% 日中に占める睡眠時間 42.3% 22.5% 日中に占める食事時間 7.6% 11.3% 一人当たり食事量 1463Kcal 1580Kcal
出典:厚生労働省HP『(財)医療経済研究機構が2001年に実施したユニットケアに関する研究』をもとに当施設にて要約
おわりに
ユニット型特養は、少人数単位での生活と個別ケアを重視した家庭的な環境を提供する一方、従来型特養は多床室を中心とした施設であり、効率的なケア提供が重視されます。ユニット型特養の方が、個別のニーズやプライバシーに配慮された環境ですが、従来型特養に比べて運営費が高くなる傾向があり、施設サービス費用も割高になることが一般的です。
介護費用は、ご家族やご本人の経済状況や予算に合わせて検討する必要があります。希望の郷ではご家族・ご本人の負担を踏まえた上で、最適な選択をすることができるよう、ご支援させていただきます。ご相談は随時承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
記事の作成日:2024年12月29日